小説


ゴートゥジムにて見事ネーブルバッジを手に入れたこなた達は、次の目的地カミンアシティに向かう途中ムラコに勧められたバトルフロンティアに参加する為にイノキ山へとやってきていた。

「でもこなた、私たちまだバッジ一つのペーペーなのにいきなりそんなのに挑戦して大丈夫なの?みっともないところだけ見せて赤っ恥かくだけかもよ?」

やる気満々のこなたとは対照的にかがみは不安の色が濃いようだ。

「まぁそれでもいいじゃん?ムラコさんもわざわざ勧めてくれたし大丈夫だよ!!」

確かにこなたの力量を目の当たりにしたジムリーダーの直々のお誘いというわけでかがみも言うほど悲観的ではなかったが、それでも不安の色は隠せない。

「誰でも参加できるみたいだしつかさも出る?」

つかさは少し考えるように上を見上げると、すぐにこなたの方を向き首を横に振った。

「私は二人の応援に回っとくね?」

「そう?折角だから出たらいいのに・・・。」

こなたは少しつまんなさそうな表情をとる。

まぁこなたとしてはつかさがどのようなバトルをするのかに興味があっただけだろうが・・・。


「あ、あれじゃない?」

イノキ山のてっぺんにやってきたこなた達は人々で賑わう巨大なスタジアムを目の当たりにした。

かがみは思ってた以上に大きいスタジアムに自然と委縮してしまう。

そんなかがみをよそにこなたは早速スタジアムの中へと入っていった。

そして、それに続き慌ててかがみ達も中へと入っていった。



らき☆ぽけ

第10話「最初のバトフロ!イノキ大会開幕!!」



受付カウンターへ行くとこなたとかがみは早速参加登録の手続きを行った。

「では、これがバトルフロンティアinアーヤス地方のポイントカードです。」

こなたとかがみはそれぞれ受付のお姉さんからまっ白の一枚のカードを受け取った。

受付のお姉さんは初めてのかがみとこなたに丁寧な説明を始めた。

「これからあなた方は、各地の通称バトフロに参加してポイントを稼いで頂きます。」

「ポイント?」

「はい。バトルポイント・・・BPのことです。このポイントは各バトルの優勝者・準優勝者に贈られるポイントのことで開催期間までに集めた数だけの景品などを手に入れことができます。。」

「はぁ・・・。」

「このポイントは他にもあなたのランクを表すことになります。」

「ランクですか?」

「はい。今のお二人のランクはノーマルですがポイント次第で、シルバーランク、ゴールドランク、そしてプラチナランクと昇進できます。ただしランク昇進のためにはフロンティアブレーンと戦い勝利を収めないといけません。」

「フロンティアブレーン?」

「バトフロのジムリーダーみたいなもんだよ?勝つとフロンティアシンボルがもらえるんだ。」

受付に代わってこなたが説明をする。

それでもかがみにはピンとこないがこなたはその後に「やってたらわかる」というお気楽なフォローが付け加えられた。

「規定数のポイントが溜まったらフロンティアブレーンに挑戦してください。ただしフロンティアブレーンは各地を巡行しており所在は全くつかめませんので頑張って探してみてくださいね?」

あくまでスマイルで面倒くさいことをサラッと言う受付にかがみはもは少し肩を落とした。

「ではバトル形式のほうですが今回はスタンダートバトルでシングルは3対3、ダブルバトルは2対2、タッグバトルは一人につき一体による2対2となっております。どれに挑戦しますか?」

「えー・・・じゃあ、私はシングルで!!」

そう言うとこなたは逸早くシングルバトルを指さした。

「おっ?ギリギリですね?あなたの登録で今回のイノキ大会におけるシングルバトルのエントリーは終了しました。」

それを聞いて喜ぶこなたとは反面かがみは少し困った顔を浮かべた。

どうやらかがみもシングルでエントリーするつもりだったらしい。

「じゃあ、ダブルで・・・。」

かがみがそう言おうとすると受付の女性は少し申し訳なさそうな表情をとった。

「申し訳ありません。ダブルバトルのエントリーも本日の分は終了しております。」

「ホントですか?じゃあ、あとはタッグかぁ・・・。」

とは言ってもこなたは既にシングル登録を済ましている。

どうやらバトルの重複はできないらしい。

となるとかがみと組める相手は限られてくる・・・。

「ねぇつかさ・・・悪いんだけど・・・」

かがみが少し申し訳なさそうに後ろを振り返ると肝心のつかさの姿が見えなかった。

「・・・・。今回は諦めるかな?」




そんなつかさはというと・・・

「やっとあったよお手洗い。」

着いた瞬間にトイレに行き、今の今まで迷子になっていたらしい。

そして、こなたやかがみの下へ戻ろうと分かりもしない道をただ気ままに歩く。

恐らく本人は自分がいま迷子だという事にきづいていないだろう。

「すいませーん!誰か俺と組む人いませんかぁ?」

つかさの横で大きな声で懇願しているのは以前につかさとバトルをし、見事に大負けしてしまった白石だった。

「セバスチャン、久し振り!!」

白石の今の状況を読めていないのかつかさは実に気軽に白石に話しかけた。

「あ、君は・・・つかささんじゃないですか?」

白石はつかさの存在に気付くと凄い勢いでつかさに駆け寄り、土下座を始めた。

「この白石みのる。恥を忍んでお願いしたいのですが聞いていただけますか?」

「うん、いいよ?」

これまたあっさりというつかさ。

そして・・・


「俺と・・俺とタッグ組んでくれませんか?」

「へ?・・・う、うん・・・。」


こうなってしまった。



「待って〜エネコ!!」

「ネ〜!」

消えたつかさを探し、スタジアム内をウロチョロするかがみにこねこポケモンのエネコがぶつかって来た。

「なに?このポケモン?」

尻もちをつきながら見たこともないポケモンに興味を示しヒョイと抱き上げる。

すると、このポケモンのトレーナーが謝りながら駆け寄ってきた。

「ごめん!私のエネコが・・・。あの大丈夫?」

「う、うん。全然・・・。」

かがみと同じくツインテールで赤茶色の髪をした女の子はエネコを抱くと尻もちをついたかがみに手を差し伸べた。

「もうこの子は悪戯っ子なんだから・・・。」

「ネ〜!!」

エネコは全く悪びれた様子を見せず毛並みの繕いを始めてしまった。

その様子を女の子は見て呆れと諦めのため息が同時にでてしまった。

「ホントにごめんなさいね・私のエネコが・・・。」

「あ、だから気にしてないって!!」

しょげ込む女の子にかがみが慌ててフォローに入る。

「私、かがみっていうの。あなたは?」

なんとか話を変えようとかがみはとりあえず唐突に自己紹介を始めた。

それに合わせて少女も自己紹介を始めた。

「私はエミリィよ?ブロッサムシティからアーヤスリーグに挑戦するために旅をしてるの。」

「あ、私もよ?まぁ私の場合は成り行きって感じだけど・・・。」

かがみがそう言うとエミリィの顔がパァと明るくなった。

「私、同じ目標を持った同世代の女の子と会うのとか初めてかも!!」

オーバーとも言えるようなエミリィの感動っぷりに流石のかがみもちょっとたじろんでしまう。

「かがみは出るの?このバトフロ!!」

エミリィがわざわざかがみの手を取って言う。

「え?ううん・・・。なんかシングルもダブルも登録受付終わってて・・・。タッグしか残ってないのよ。で、組む相手がいないから今回は諦めようかなって・・・。」

かがみの言葉にまたまたエミリィの口元は緩んだ。

「ねぇじゃあさ私と一緒に組まない?私も出遅れちゃって・・・!!」

その話はかがみにとっても決して悪くなく・・・むしろ喜ばしいほどだった。

もちろんかがみの答えは・・・

「もちろん!!OKよ?」

であった。



そして、バトフロ〜イノキ大会〜が始まる。

試合前だというのに会場は既に温まっており、こなた達に心地のよい緊張を感じさせる。

会場が沸くにつれこなたのボルテージも上がっていた。

プログラムでは最初に行われるのはタッグバトルらしくシングルエントリーが終わっていたこなたはバトル前にいい刺激になると思い観戦にやってきた。

姿の見えないかがみとつかさを探すも見つからず結果一人で見ているわけだが・・・

(つかさは迷子としてかがみんまでどこに行っちゃったんだろう?)

こなたの心配をよそにタッグバトル1回戦が始まろうとした。

自在に宙に浮く台座に乗りながら実況の男が観客席に負けないようなハイテンションでやってきた。

「さぁ記念すべき第1回目となるバトルフロンティア〜イノキ大会〜!!まもなくこのAスタジアムで最初のバトルが行われようとしているぞ!?ここで改めてバトルルールを説明しよう!!使用ポケモンは一人一体によるタッグバトルで先に両者のポケモンが戦闘不能になった時点でバトルは終了!最後まで立っていたチームが勝利する!!」

一通りの説明を終わらせると、審判ボックスから白ひげを目一杯に蓄えた男が出てきた。

すかさず実況が紹介を始める。

「今回審判を務めるのは好きな食べ物は食パン!!アーヤス地方の審判長の代名詞”ジャム”だ!!」

「よろしく!!」

見た目の老けた顔とは違い声、動き共にどこか若々しく盛り上がる観客席にジャムは大きく手を振った。

「そして、実況を務めるのはこのワタクシ、デビット・ジョンソン!!略してDJがお送りします!!」

猛烈な自己アピールをした後DJはようやくバトルの進行を始めた。

「さぁ記念すべき一組目は赤コーナーロゼウ&マーク選手!!」

ワッと響く歓声のもと二人組の男が元気よく入って来て、それぞれのトレーナーボックスに入った。

「そして、青コーナーこちらは若々しい女の子のペアだ!!かがみ&エミリィ!!」

ゲートが開くと同時に出てきたのは少し照れたように周りをきょろきょろと可愛いしぐさをする女の子二人組であった。

そんな彼女たちの行動にまた別の意味で観客席が沸き上がった。

「かがみ!!タッグに出てたんだ。」

出るなら出るで教えてくれればと思い、少し顔を膨らませる。

(どうしよう・・・まさか初っ端からだなんて!!)

かなり予想外の事態に緊張でいっぱいのかがみとエミリィ。

「か・・・がみ?頑張ろうね?」

そう言うエミリィの声もどこか弱々しかった。

「う、うん・・・私たちがやることは自分のポケモンたちに恥じないバトルをすること・・・それだけよ!!」

かがみはそう言うと少し息を吐き心に落ち着きを取り戻す。

それはエミリィも同様だ。

そして・・・

「それではタッグバトルAブロック第1回戦の試合を始めます!!レディ〜ゴー!!」

鳴り響いたDJの声とゴングの音と共にかがみたち初めてのバトフロが始まった。


「いけっチコリータ!!」

「頼むわよ?マリル!!」

「チコッ!」

「リルリル!!」

かがみはチコリータ、エミリィが出したのはみずねずみポケモンのマリルだ。

「いけ!メリープ!」

「行って来い!!マグマッグ!!」

「メリー!」

「マングー!!」

対するロゼウのポケモンはようがんポケモンのマグマッグ、マークはわたげポケモンのメリープだ。

「マグマッグにメリープかぁ。」

そう言いながらかがみは図鑑でマグマッグを表示する。

「マグマッグ、体が冷えると固まって動けなくなる。睡眠時は溶岩のそばでしているか・・・。」

これといってバトルで有利な情報は得られない。

ただゲットしたら溶岩を用意しないといけないのかという疑問だけが残ったが今はそれは置いておくとしよう。

「もう一匹はメリープ。メリープの綿毛は電気をため込むことができる。そのため体はせいでんきの塊かぁ・・・迂闊に近寄れないわね?」

かがみはそっとそれをエミリィに伝える。

エミリィは既にバトル集中しているようでさっき程の口数はなくただ黙ってかがみのアドバイスに頷いた。

「それでは両者ポケモンが出揃いました。さぁこのポケモンたちでどんなバトルを見せてくれるのか?」

「とりあえず、怖いのは炎タイプのマグマッグ!!エミリィ、マグマッグの相手頼んだわよ?」

「OK!かがみはメリープをお願い!」

二人はとりあえずそれぞれが苦手とするポケモンたちの対処をパートナーのポケモン達に任せることにした。

「マリル、”みずてっぽう”!!」

「リールー!!」

マリルの先制攻撃がマグマッグを襲う。

しかし、マグマッグはその場から動こうとはしない。

「マグマッグ、”どわすれ”!!」

すると、マグマッグは間抜けな顔をしながら頭に?マークを浮かべた。

そして体いっぱいにマリルの”みずてっぽう”を受けた。

「おぉっと・・・!!マグマッグ、効果抜群のマリルの”みずてっぽう”を受けても平気な顔をしている。おそるべき”どわすれ”!!」

DJの驚き通り、マグマッグは”みずてっぽう”をもろともせずピンピンとしている。

一方のチコリータとメリープは・・・

「チコ、”はっぱカッター”!!」

「チーコッ!!」

「メリープ、かわして”わたほうし”!!」

「リー!!」

メリープはジャンプで”はっぱカッター”をかわすと上空から体の綿毛をチコリータに浴びせた。

よくくっつくその大量の綿毛にチコリータは身動きとれずにいた。

「マグマッグ、チコリータに”かえんほうしゃ”!!」

「おおっと身動きしづらいチコリータにマグマッグの”かえんほうしゃ”が襲いかかる。チコリータ、万事休すか?」

DJの言う通り、マグマッグの炎はそこまで迫っており、今のチコリータの早さではかわすことは不可能であった。

しかし、チコリータには受けの技がある””

「チコ、”ひかりのかべ”!!」

「なに!?」

四角い光の壁がチコとマリルそれぞれに分割して張られる。

「おぉっと!!チコリータもマグマッグ同様に強力な防御技を持っていた!!」

防御面で言えばチコリータだってマグマッグに劣ってはいなかった。

「よーし、チコリータに守ってもらってこっちはもう怖いもんなしよ!!マリル、マグマッグに”ころがる”!!」

「リールルルルル!!」

マリルは体を丸めるとそのままマグマッグに突っ込んでいった

「メリープ”かみなり”!!」

ころがるマリルを止めようとメリープがマグマッグの前に出る。

「チコ、”つるのむち”!!」

「チーコッ!!」

「メリッ?」

チコリータは得意の足払いでメリープをこかせると見事に”かみなり”をマリルから逸らすと前に出ていたメリープ、マグマッグと倒し将棋のごとく2体を轢いていった。

マグマッグは実質2撃目のためダメージはかなりのものだろう!!

「さぁ、マグマッグの残り体力がわずかだがここから挽回できるか?」

DJの言葉虚が儀礼の一つと誰もが思うかのように、今の流れは完全にかがみとエミリィに向いていた。

「チコ、”はっぱカッター”!!」

「マリル、”みずてっぽう”!!」

チコリータの全体攻撃が炸裂し、徐々に2体の体力を奪っていくとマリルの”みずてっぽう”がマグマッグにとどめを刺した。

「マグー・・・!!」

「おぉっと、マグマッグの”どわすれ”虚しくマリルの”みずてっぽう”で戦闘不能となってしまった!!」

そして・・・


「メリー・・・。」

「メリープ、戦闘不能じゃ!!よって勝者、青コーナーエミリィ&かがみペア!!」

ジャムの籏がかがみたちに上がると同時に観客席から二人の勝利を称える声が聞こえてきた。

その声にまたまたかがみ達は照れくさそうに遠慮がちに客席に手を振った。

「チコ、おつかれ!!」

「マリルもお疲れ!」


バトルが終わり控室に戻ると一気に緊張の糸が切れたのかドッと腰を下ろすかがみとエミリィ。

そんな中、控室の中でどこか落ち着きのない見慣れた人物を見つけた。

「つかさ!!」

つかさは妙にニコニコしながらかがみの方を見た。

つかさはかがみの方を見るなり嬉しそうにかがみの下へ駆け寄った。

「あっ、お姉ちゃん!!私、なんかバトルに出ることになっちゃって!!」

 笑顔のつかさをよそにかがみはいまいち状況をつかめないでいた。

「かがみ、その子は?」

エミリィがそう聞くとかがみはつかさに代わって紹介する。

「あぁ・・・この子は私の妹のつかさよ。」

「よ、よろしくおねがいします。」

つかさがペコっと挨拶するとエミリィも嫌気のない笑顔でつかさに友好の握手を求めた。

つかさもそれに合わせて恐る恐る手をのばしエミリィの手に触れ、握手をかわす。


「へぇ白石に・・・。」

「うん・・・泣いて頼んできたからつい・・・そうだお姉ちゃん、バトルやるの私これで2回目だから色々分からないの!アドバイスとかなんかないかな?」

相変わらずのお人好しっぷり姉のにかがみは喜んでいいのやら嘆いていいのやらで複雑な心境だ。

チラッと横目で白石を見ると彼は少し苦笑いを浮かべている。

そして、つかさの質問にちょっと困ったように天井を見た。

「まぁ何事も経験だし・・・慣れていくんじゃない?私もあんたにアドバイスできるほどバトル出来るってわけじゃないし・・・。」

かがみは逃げ出した。

とはいってもホントにいきなりバトルのアドバイスを求められても困るのは事実である。

そんなにバトルのことを聞きたければかがみよりこなたに聞く方が妥当であろう。

そんなことを思っているとかがみはこなたの試合の時間が迫っていることに気がついた。

「つかさ、こなたのバトルとか見てみる?私なんかよりよっぽど参考になると思うわよ?」

「こなちゃんの?そ、そうだね!!」

それを聞くとつかさの表情は幾分か明るくなった。

そして、こなたが試合をやる予定のCスタジアムに誰よりも早く飛び出した。

それをゆっくりと追いかけていくかがみ。

そしてエミリィ、白石。



「赤コーナー・泉こなた!!」

かがみ達がCスタジアムに着くと今にも試合は始まろうとしていた。

先ほどのかがみ達とは堂々と・・・そして、高々と客席に手を振りながらこなたが現れた。

「あ、こなちゃん〜!!がんばって!!」

大声でこなたに声援を送るつかさにこなたが気づくと親指を立てて”大丈夫!”のサインをつかさに送った。

「そういえば、さっきの試合みたいに実況のDJさんがいないわね?」

「あぁ・・・あの人、聞いたところによると開会直後の初戦と決勝以外は出ないわよ?」

「あ、そうなんだ・・・。」

エミリィの話によると理由は彼はジョーイさんみたくクローンじゃないから同時に2つ以上の試合は実況出来ないとのこと・・・。

まぁ、当り前の話なのだが・・・。

よく見ると審判もさっきのジャムとは違う若い男性となっている。

そんな中現れる青コーナーの人間。

「青コーナー、ソウミ!!」

こなたの対戦相手はおでこを完全アピールしているとしか思えないほどのオールバックの女の子だった。

「それでは両者ポケモンを!!」

審判の声と共に二人は互いにモンスターボールを構え、バトルフィールドに放った。

「いけっ、ニョロモ!!」

「お願い、キャモメ!!」

「ニョー!」

「キャモー!」

こなたの一体目はニョロモ。

相手は同じく水タイプを合わせ持つうみねこポケモンのキャモメだ。

「キャモメかぁ・・・ニョロモにとってはちょっと苦しい戦いだね?」

そうは言うもののこなたは自信満々な笑みを浮かべている。

その表情を相手を無駄に挑発していたことにこなたは気付いていない。


「あのポケモンは・・・キャモメかぁ・・・海辺に多く生息し、上昇気流を受けての滑空を得意とする。これにより本来体力の少なく長時間の飛行が困難な欠点を補っているか・・・。」

客席からこなたの相手のポケモンを早速調べるかがみ。

何事も経験ということだろう・・・。

「キャモメって水のくせに”なみのり”を習得できないんですよね?」

白石が半笑いで言うとかがみが「当り前でしょ?」と突っ込む。

「でも、進化したらちゃんと”なみのり”を使えますよ?」

「へぇ・・・」

「いちいち泳ぐくらいなら向こう岸まで乗せてくれればいいのにね?」

「いや・・・そうですけど・・・”なみのり”は移動用ってだけじゃないんで・・・。それに移動用は移動用で利点もありますし・・・。」

笑顔で”なみのり”全否定のつかさに白石は答えに非常に困ったが横にいるかがみたちは敢てそれを無視し、試合に目を戻した。


試合開始のゴングと共に先手を取ったのは素早さで勝るキャモメの方だった。

「キャモメ、”つばさでうつ”!!」

低い位置で滑空しながら”つばさでうつ”を確実にニョロモに当ててくる。

「ニョー・・・!」

「ニョロモ、”はたく”!!」

「ニョロロ!!」

再びこちらに向かってくるキャモメをニョロモは尻尾のビンタでお迎えした。

地面に叩きつけられるキャモメ。

「頑張ってるとこ悪いけど、私のキャモメ水タイプには負けなしよ?”でんげきは”!!」

「な!?」

流石のこなたも驚いた。

キャモメから放たれる電撃は一瞬でニョロモを貫いた。

そのあまりの早さは回避する間も与えない。

効果は抜群のようだ。


「ちょっとちょっと水タイプなのに電気タイプの技使ってきたわよ?」

客席の一同もそのキャモメの攻撃に驚いていた。

「これはかなりやばいんじゃない?」

エミリィの言う通りである。

こなたの現在の手持ちはヒコザル、カモネギ、レディバ、ニョロモと電気タイプの技を合わせ持つ水タイプには不利なポケモンなかりであった。

というわけでチョンチー系が来たらそれまでなんだが・・・。


「戻ってニョロモ!!」

こなたは水タイプのニョロモの攻撃方面への不利を感じ、傷付くニョロモを一回戻した。

「次は、レディバ頼んだよ?」

「レディー!」

こなた続くポケモンはレディバだ。


「レディバじゃ、ひこうタイプの技にも注意が必要ね?」

「うん・・・ !!」

付きあいで見ず知らずの人間の試合を見ていたエミリィもいつの間にか自分・・・もしくはまるで仲間の一人のようにな心境でこなたのバトルを見守っていた。


「レディバ、”スピードスター”!!」

「ディディディ!!」

まずは様子見ということか、こなたはレディバに”スピードスター”を命じる。

無数のきらめく星達がキャモメを襲っていた。

「キャモメ、耐えて!!」

これがは回避不能とみたのかソウミの指示通りキャモメは体を覆うように羽根を閉じ、ひたすら耐えていた。

そして、”スピードスター”が消えるとすぐさまレディバに向かって飛び出した。

しかし、それはレディバも同じことである。

「”つばさでうつ”!!」

「”すてみタックル”!!」

両者の技が激突する。

相性含め威力は互角のようだ。

ただ違いがあるとすれば・・・。


「キャモ・・・!!」

レディバの攻撃を見事相殺したキャモメは急にふらつき出した。

どうやらうまく飛べないらしい。

ソウミがその原因に気付くと同時に客席の白石も気がついた。

「羽を?」

「・・・はい!あのキャモメさっきの技のぶつかり合いで羽を痛めてます。」

確かによく見るとキャモメの右翼にはどこかしらダメージのようなものがある。

うまく飛べない理由はそれだった。

かがみはすぐさまこなたの様子を確認するが、分かってはいたがこなたの表情からはその事に気付いているのかどうかはさっぱり分からなかった。

「キャモメ、”みずてっぽう”!!」

あくまで平常心を保つソウミだが、やはりキャモメを気遣ってかあまり動かない遠距離攻撃にパターンを変えてきた。

「レディバ、かわして!!」

するとレディバは上空に旋回し、”みずてっぽう”を回避する。

「そのままキャモメをかく乱しながら接近して!!」

やはりこなたは気付いていた。

羽を痛め自由に動き回れないキャモメをあざ笑うかのようにレディバは不規則な動きで着実にキャモメに近づいていく。

「”でんげきは”!!」

「”まもる”!!」

必中”でんげきは”が放たれるとほぼ同時にレディバは”まもる”でベールに身を包みやり過ごす。

「よーし、とどめの”すてみタックル”!!」

「キャモメ、かわして!!」

ソウミはもうそこまで近づいていたレディバに向かってとっさにそう言った。

「レディー!!」

「キャモ〜!!」

しかし痛む羽に躊躇している間にキャモメはレディバ渾身の一撃をくらってしまった。

そして痛む羽を庇うようにそのまま戦闘不能となった。

「キャモメ、戦闘不能!!」

審判の声とともに客席からワッと声が鳴る。

それにこなたは誇らしげに手を振っていた。

そして、間もなくソウミが2体目を出そうとしていたころ・・・。

隣のDスタジアムでは間もなくつかさ&白石の試合が始まろうとしていた・・・。

「こなちゃん、いけいけー!!」


・・・二人はまだ、気づいていない。


続く。


あとがき


どもぽちゃです。

今回初めてのバトフロという名目のバトルトーナメントですが・・・

タッグは書きにくいよぉ(泣)

新キャラのエミリィですがモデルはかがみの中の人です。

というわけで一人称も名前だったりします(笑)

まぁ出身地の時点で分かるとは思いますが・・・

かがみのいいライバルになってくれるかな?

次回は後半戦!!

かがみたちの活躍はまだまだ続きます!!

じゃ、また!!